名古屋市にある総合病院の救急外来、その家族待合の状態を知って、医療従事者にアンケートに参加してもらい、オンラインミーティングをして直接救急科の先生にヒアリングし、グループワークで進めてきました。デザインを学ぶ専門学校1年生と取り組んだ改善提案です。
1年生であることと、授業のコマ数から「提案」までを目標に制作しました。

色彩検定UC級の勉強をすすめる

オンラインといえば、今年の1年生はコロナ禍を、高校生活3年間で過ごした子たちです。
コロナ禍の時、高校生は大学や専門学校ほどオンライン授業に頼らず登校させていましたし、
小学生や中学生ほど、デジタル教材に触れていない・・という様子の子たちです。
オンラインミーティングも不慣れでスキルがないため、「え?どうやるの?」なんて確認していて、
「今の小学生は小学校で大人顔負けのプレゼンテーションするよ!」と発破をかけました。
はじめて集団でオンラインミーティングをする・・という学生もいました。

提案はとても自由なアイテム使いがありつつも、まずはあたたかく見守りました。
デザインに関わる人にできることって(学んだUC級の知識も生かしながら)さまざまなところに生かされるという経験になってほしいです。

4グループが出した提案。

最終プレゼンテーションを見てくださった名古屋市立大学 特任教授 鈴木先生の講評

  1. 難しい課題に対して、短時間に関わらず問題把握から、解決の模索、提案、制作、まとめと一定のプロセスを辿っていることに感心しました。
  2. グループワークは、個人作業と違って相互理解と調整が大変だったと思いますが、役割分担も明確でチームワークの良さも垣間見えました。
  3. 色彩を学んでいる学生さんらしく、色相、明度、色彩心理などの視点からの説明が新鮮でした。

グループ別に

  1. チーム1:全体的に家庭的な雰囲気を感じる提案でした。医療的な観点での検証が必要ですが、観葉植物によるリラックス効果や、ドリンクの提供が心理的安心につながるという指摘はとても共感できました。仕切りカーテンによる視覚のコンントロールも想像力を働かせた成果かと思います。
  2. チーム2:患者さんの座り方によるストレス軽減(環境デザインの分野で「居方」(いかた)研究といいます)や、照明の温かみに着目したのは秀逸ですね。また、情報を提供するためのICTの活用など今すぐにでもやってほしいと思います。
  3. チーム3:人によって異なる色覚特性まで配慮した説明は新鮮でした。また、嗅覚(アロマ)、触覚(Yogibo)、視覚(オイルタイマー)など人の五感にアプローチしたのは良かったです。待つ人や患者の視点に立つことの大事さを気づかせてくれます。
  4. チーム4:病院に隣接する公園の銀杏並木を室内に持ち込む手法は、閉ざされた空間を開放し、内外を連続させる視覚的な効果を感じます。何よりも動きのある鳥や犬を描くことで、沈んだ気分を明るくする効果がありそうです。

松嶋先生の講評を聞かせていただき僕自身も勉強になりました。とくに、接触による感染拡大に対してよほど気をつけなければならないですね。救急現場で活躍される松嶋先生と、救急現場は知らないけれど柔軟な発想力を秘めている学生さん、そして課題を通じて連携した先生のおかげで、素敵な出会いの場、相互の学びの場を見せていただいたことに感謝いたします。この授業は、ひょっとして日本で初めてかもしれません。学生さんには色彩で世界を変えるくらいの気持ちで活躍してほしいです。ありがとうございました。